集会・講演・支援 各地の集会
この記事は、2017年に全国各地の支援者によって開かれた講演集会の参加者のメッセージを収録しています。※2017年11月発行の冊子「徹底解説・植村裁判2015-2017」掲載記事(52~54ページ)を全文再録
2015年から2021年まで裁判(口頭弁論と判決)のあった日に東京、札幌で開かれた報告集会の様子は、「東京集会の記録」「札幌集会の記録」に各回ごとに記録されています。
全国に広がる支援の輪と応援の声
植村隆さんが各地の市民運動グループや労組から招かれて行った講演は、この2年間で60回を超えます。北海道から、関東、中部、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄と全国をくまなくかけまわり、未踏の地域は東北だけになっています。力強い支援の輪が広がっていることのなによりの証明です。講演で植村さんは、軽妙なジョークを随所に交え、パワーポイントを駆使します。バッシングの不条理と困難に耐えた剛毅な生き方、慰安婦問題の本質がわかりやすく語られます。ドラマチックな語りにネアカで気さくな人柄があいまって、講演はいつも共感を呼び、好評です。ここでは、2017年に行った講演会から、那覇、福井、長崎、人吉、広島、岡山市の会場で参加者が書いたアンケート(講演の感想、メッセージなど)の一部を紹介します。
那覇市・沖縄大学で■2017年2月4日
▽植村さんとご家族の勇気と難儀をものともせぬ忍耐力と知の力に感服しました。それにも関わらず、歴史修正主義者たちの動きがいっこうに衰えないことを危惧します。植村さんの裁判は大きな意義があります。(E.M)
▽闘いの中で支える「仲間たち」が増えていく過程に励まされます。事実に基づけば必ず勝利する確信になりました。(N.N)
▽表現の自由、言論の自由に対する様々な圧力が強まっています。世界的にもそうですが、日本では凄まじいものがあります。植村さんへのバッシングはその象徴のようなものです。「事実を言えない、表現できない」のは民主主義の敵です。(M.S)
▽「過去の誤りを認めることが民主主義を強める」という指摘、重要ですね。この点で、戦後日本は不十分だったのではないでしょうか。植村さんが闘わなければならなかったことも、沖縄2紙がバッシングを受けていることも深く関係していると思います。日本は昭和の戦争を検証し、その責任を明らかにし、ドイツのように、「過去の誤り」を認めていかなければと思います。(I.Y)
▽植村さんの勇気ある闘いに敬意と感謝を申し上げます。家族と周囲を巻き込まざるを得なかった状況のご苦労はいかばかりか察するに余りあります。裁判は是非勝って欲しい。この国は安倍政権の下でひどい方向に進んでいるように思います。それぞれの闘いの場から手を取り合ってあきらめることなく、私たちの世代で打ち返していきたいと思います。(K.O)
▽植村さんの講演を聴いて、家永裁判から始まる数多くの沖縄の歴史を否定するような、日本の不都合なものにフタをしようとする右傾化の流れがより強力になっていることをひしひしと感じます。植村さんの頑張りに敬意を表します。一人ひとりの力は小さいけれども頑張っていきましょう。
福井市・福井教育センターで■8月4日
▽北星学園への攻撃の時には、新聞記事で知るばかりでしたがとても心配していました。今日はお元気な姿でお話をお聞きできて、とても良かった、と思っています。櫻井よしこ、西岡力らの右派言論人は、日本の恥さらしです。安倍晋三らの「戦前回帰」を打破することが日本の民主主義を守り抜くための課題と考えています。
▽隣国、韓国のことがよくわかり親近感を覚えた。田舎の私の街では差別的な偏見もあるし、慰安婦問題は過去のことで戦争中のことだからと関心も薄れている。それに反論するのが難しい。今日のお話を聞いて正しい歴史認識が庶民に必要と思った。教育が大切だ。植村さんの闘いの中で、娘さんをツイッターで攻撃した犯人が普通の男性と言うのに脅威を感じた。
▽戦時中日本軍は中国、朝鮮に言葉に表せないむちゃくちゃをしたことは、いろいろな人の言葉で明らかです。女性を性の奴隷にしていたのは間違いないので、日本政府はとにかく賠償して謝罪すべきである。戦争のための防衛費を削ってその費用に充てるべきです。今日の植村先生の話はとても勉強になりました。ありがとうございました。昭和13年生まれの80歳です。
▽時の政権によって、教育が左右されることが許せません。教職にいた私としては、道徳の教科化、英語の小学校導入なども・・・。お話をお聞きして正しいことは決して曲げられないと実感しました。裁判勝利を確信しています。
▽頑張ってください。心から応援します。すべては安倍総理の戦後レジュームからの脱却、美しい日本を取り戻す、から出ていると思います。一言で言えば不都合な過去の事実を否定し戦前同様に戦争する国づくりのためだと思います。その背後には日本会議があるのでしょう。
(男性)
長崎市・長崎県教育文化会館で■8月8日
▽次から次に押し寄せてくる言いがかり・いちゃもんに、家族ぐるみで生死をかけた防衛戦を強いられた植村隆記者の災難は、本来だれが引き受けるべきものだったのか、これが最大の問題だと思った。一般論として、ひとつの新聞記事に読者から「いちゃもん」が来たとき、対応すべき責任者は誰か、その記事を書いた記者個人か、それとも新聞社か。植村記者はそのいちゃもんを個人で引き受け、まさに孤軍奮闘しているのだが、聞けば聞くほど腹が立ってきた。引き受け手は会社側じゃないか。社の何人もの目を通って公になった正真正銘の記事じゃないか、読者との関係では記事内容の正誤を含めて会社が全責任を負うというのが当然ではないか。植村さんは歴史修正主義を相手にしていると語るが、無理やり押さえつけている怒りが植村さんの健康を損なうことがないように祈るばかりだ。(S・F)
熊本県人吉市・東西コミュニケーションセンターで■8月12日
▽真実に忠実に向きあうジャーナリストの魂に敬服しました。情熱的で精力的な話に共感を覚えました。事の本質をしっかりと見極めることの大切さを学びました。今後の活動を支援したいと思います。大変良い企画でした。(60代男性)
▽とてもよく分かりました。といっても自分の勉強不足でもっと勉強しなければと思います。マスコミについては植村さんの言われたとおり、本当の声が届いていない、出されていないと思います。少々イライラしているところです。小さな声でも大事にされる、そういう世の中になってほしいと思います。(70代女性)
▽戦争はしてはいけないですね。子ども、女性が最も悲惨な被害を受けます。言論の自由、表現の自由は人としての当然の権利でしょうが、なんでも言いたいことを言っていいのか~と考えさせられます。娘さんは頑張られました。立派でしたね。活字、映像などから、いろいろな情報を受けます。日常、いつも批判的に対応することは難しいです。考えさせられました。(女性)
▽白いものを白、黒いものを黒といえない世の中になってきているような。戦後、民主主義になったのに最近また右寄りになってきて恐怖心がわいてきている。慰安婦問題に関しても、なぜこんなに「臭いものに蓋」を閉めるように認めないのか? 事実を新しい世代に伝えないのか?(女性)
▽植村さんを孤立させてはならない、と弁護士のみなさん、市民有志のみなさんが立ち上がったことに「民主主義は死んでいない」と思う。歴史の事実を書き換えようとする勢力に私たちは負けない。植村さんが負けない人で嬉しいです。(女性)
広島市・広島弁護士会館で■8月19日
▽ひどいバッシングに驚いています。このような事が平然と行われている社会のいびつさを思います。私達個人の人権を主張し守り、見張ることへの構築がなされることを望みます。微力ですが、できる事を捜していこうと思います。
▽女性や子ども達への暴力、とりわけ性暴力についてきちんと取り組み、真実を伝えていくことの重要性を再確認しました。ねばり強く行動していくぞ!とエネルギーをいただきました。植村さんもご家族もどうぞ支援をいっぱい受けて、体や心に十分注意して活動してください。またの講演をお願いします。真相を学びたいです。
▽「試練は恵み」と言われましたが、大変な試練ですね。しかし、「恵み」と言われたので、小さな試練に悲しみや不安を覚えている私には、今日のテーマで与えられたこととともに、励ましを与えられました。「ひとりじゃない/仲間を作ろう/相談しよう」を心に刻み、行動していこうと思います。
▽貴重なお話をありがとうございました。最近の歴史修正主義的な動きに危機感があり、恐怖もありますが、「仲間をつくる」とのお言葉に励まされました。萎縮せず頑張ってこられている方を応援していこうと思います。当面は安倍政権やそれを支えるものを倒す必要があると思うのですが、結局行きつくところ、大日本帝国から続いてしまっている「日本」的なものを倒さなければならないと思います。
▽とても良い会でした。目覚めて行動しなければいけないとひしひしと感じております。また、同じあやまちを繰り返さないために!
▽植村さんの不当バッシングの経緯というか、何の記事を書いてどんなウソで不当に批判されたのか、事実は何であったか、というのがわかりました。植村さんのたたかいはむしろ日韓の和解への道筋や架け橋になっているような気がします。私はお金も学もありませんが、植村さんやその他の人を応援しています。
▽植村さんに対するバッシングで北星学園大に脅迫メールなどが入っているとの報道があり、こんなことを許してはならないと、大学に圧力に屈しないように要請はがきを出したような記憶があります。でも、今日の話で、多くの支援があったことを知り、たいへん心強く思いました。はがき・メールでも大きな力になりうることに自信を持ち、取り組んでいきたいと思いました。
▽バッシングされても不屈に闘い続ける植村さんの姿に元気をもらいました。右派メディアの罪は重いです。「記憶されない歴史は繰り返される」という言葉が印象に残りました。歴史教育の重要性を痛感しています。
岡山市・岡山県立図書館で■8月20日
▽お人柄が非常に誠実な方だと思います。支援の輪が広がり、力強く思われたことでしょう。今の社会、いつ私や私の知人もネット被害に合うかもしれません。ねばり強い対処の仕方を教えて頂き、ヒントをいただきました。正しいことはきちんと伝えていかなければと強く思いました。
▽貴重なお話しをありがとうございました! 私も「慰安婦はなかったんだ」と思うところでした、「朝日新聞だから間違っている」みたいな。そうではない。「慰安婦はいた」は事実ですし(元日本兵が証言している)、皇軍は侵略行為をしてしまった、そのことは忘れてはいけないと思う。
▽とてもよい講演会で、参加してよかったです。聞き取りやすくて、勉強になりました。
▽「偏見や憎悪をかき立てられることがないように」。まさに、それをきちんと、どの年代層にも定着させていきたいですね。ひとつ気になるのは、韓国の若者たちに対し、それに近い働きかけや教育が行われていることはないのか、ということです。また教えていただけたら、と思います。
▽権力に媚びたり、すり寄ったりする報道関係者も多い中で、脅迫や圧力に屈しない植村さんの反骨精神や、ジャーナリストとして真実を追求する使命感の強さには、ただただ敬服するばかりです。「売国奴」「国賊」などという言葉で、植村さんだけでなく、ご家族までバッシングしていた人々の行いが、全く理解できません。歴史の汚点ときちんと向き合い、反省すること、自国に対して批判すべきところはきちんと批判することこそが、真の愛国者がすべきことであり(ドイツ人の、ナチスやヒトラーに対する態度がいい例です)、過去の過ちをなかったことにする、認めない、というのは単なる幼稚な自己愛、自己保身にすぎないと思います。
2017年夏の講演会は、このほかに金沢市、富山市、福岡市、熊本市、蒲郡市で開催されました。また、2016年夏には、札幌市、旭川市、岩見沢市、室蘭市、新ひだか町、倶知安町、北九州市、福岡市、熊本市、水俣市で開催されました。各地のレポートは「支える会」ブログに随時掲載しています。植村さんは毎夏の講演会のほか、裁判報告集会や市民グループの集会、大学でも講演をしています。
●取材・まとめ協力
七尾寿子、樋口みな子、赤坂京子、各地の支援者の皆さん
凡例▼人名、企業・組織・団体名はすべて原文の通り実名としている▼敬称は一部で省略した▼PDF文書で個人の住所、年齢がわかる個所はマスキング処理をした▼引用文書の書式は編集の都合上、変更してある▼年号は西暦、数字は洋数字を原則としている▼重要な記事はPARTをまたいであえて重複収録している▼引用文書以外の記事は「植村裁判を支える市民の会ブログ」を基にしている
updated: 2021年8月25日
updated: 2021年10月18日