PART ◎法廷ドキュメント 

傍聴席から見た植村裁判

 

植村裁判では口頭弁論と判決言い渡しのために、東京で20回、札幌で17回、法廷が開かれた。毎回、傍聴席には多くの市民、支援者が座り、廷内で交わされるやりとりや発言に注目し、傾聴した。植村弁護団の席にはいつも10~20人が着席していたが、開廷直前に席が足りなくなり補助椅子が持ち込まれることもあった。植村氏は裁判期間のほとんどを韓国カトリック大学に客員教授として勤務していたため、韓国の大学の講義と日本の裁判の日程に合わせて日韓の往来をくりかえした。欠席は一度もなく、大きな負担を背負いながらの皆勤だった。一方の被告側は、櫻井氏は第1回口頭弁論と本人尋問の2回、出廷した。西岡氏は第1回口頭弁論には喜田村洋一弁護士とともに欠席し、出廷は本人尋問の1回だけだった。

民事訴訟の口頭弁論は準備書面のやりとりによる擬制陳述が主となり、原告の出廷は義務づけられてはいない。当事者の訴えや主張が肉声が発せられることも少ない。ところが、植村裁判では弁護団の求めに裁判所が応じ、植村氏の発言や弁護団の陳述の機会が裁判の節目で与えられた。植村氏の主張や訴えは法廷で一定程度、可視化された、といえるだろう。裁判のハイライトは櫻井、西岡氏本人に対して行われた本人尋問となった。両氏とも、「捏造」決めつけの根拠としている重要な資料の改変や誤読、誤解を追及され、苦しい答弁に終始した。法廷ドラマを思わせる場面が目の前で繰り広げられた。

口頭弁論開始から判決確定までの期間は東京5年11カ月、札幌は4年7カ月。当初予想を超える長丁場となった植村裁判の法廷の様子を記録にとどめておこう。

 

 

PART9の記事

 

東京訴訟全傍聴記録

  東京地裁口頭弁論(全16回と判決言い渡し)

  東京高裁控訴審(全2回と判決言い渡し)

  最高裁決定

 

札幌訴訟・全傍聴記録

  札幌地裁口頭弁論(全12回と判決)

  札幌高裁控訴審(全3回と判決)

  最高裁決定(新聞記事)

 

 


PART9の執筆者、取材メモ作成、取材協力者(50音順)

 

伊藤千尋 北野隆一 佐藤和雄 徃住嘉文 中町広志 長谷川綾 

林秀起 藤森研 水野孝昭 文聖姫 山田寿彦 山本伸夫